監査法人との面談

監査を依頼している監査法人で、むこうの担当者とその上司と面談してきた。アムネスティの事業内容などについて話し合う。来てくれと言うから行ったんだけど、話し合いの目的がわからないから訊いてみた。要するに、監査対象である法人に実体があるかどうかの確認なのだそうだ。ふーん、世間には知らないことがいっぱいあるのだな。監査報告書には上司がサインするわけである。部下の言うことと目の前の帳簿を鵜呑みにして報告書にサインしたら、実体のない会社に信用というお墨付きを与えることにもなりかねない。←ということらしい。なるほど、悪いことはできないようにシステム化しておかなくてはならないというわけね。
アムネスティは会員の性善なるところが基本だったりするし、翻訳の方だって口約束の世界だから、シビアなビジネスの考え方は新鮮なのだ。

『レストア』 太田忠司カッパノベルス
『ゆげ福』 西村健講談社文庫
 これがなかなか面白かった。名前覚えておこう。
『動物学科空手道部1年高田トモ!』 片川優子双葉社
 面白かったんだけど、この大学は神奈川県にあって、獣医学部に獣医学科じゃない動物学科があるという、なんとなく、あれかな?と思えるところだったので、そっちの興味で面白かったのかも。
『ソラチルサクハナ』 高里椎奈講談社
 薬屋探偵の、別シリーズで、リベザルが店長になっていてびっくりした。
『謎亭論処(めいていろんど)』 西澤保彦、ノンノベル
 西澤保彦は好みなので多作大歓迎である。腕貫探偵の第三弾が出ないかなあ。

週末は京都で全国交流会がある。やっぱり仕事を持っていくのか? 

再読ばっかり

ゲラをひとつ返送し(初校だからもう一回来るんだけどね)、別の仕事をしながら二つ目のゲラに突入。出かける用事も多くて、なかなか進まない。毎年もらう明治製菓のカレンダーに用事を書き込み、行き先の地図とか、開始時間や、会議なら議題などを印刷した紙を欄外に貼り付けて置くのだけれど、貼った紙が重なっていてわけがわからなくなっている。いざ出かける時に忘れちゃうんじゃないかと心配になる。

『祝宴』『再起』 ディック・フランシス、北野寿美枝訳、早川書房
『モダンタイムス』『砂漠』 伊坂幸太郎講談社

『いつから、中年?』 酒井順子講談社
 「雅子さま」、「紀子さま」と書かれているのを見て、途中で読むのをやめた。

風呂に入って寝なくちゃ。

苦戦中

仕事が進まない、ので、本に手が伸びる。読んでいるとさらに遅れる。翻訳しているときは、本を読んでも進むのだが、ゲラやチェックというのはやることがかぶっているためか、ちょっと違うようだ。

『いつか陽のあたる場所で』 乃南アサ、新潮社
 刑務所がえりの主人公とその友達が下町で身を寄せ合って生きていく。高木聖大クンも登場。芭子は家族から縁を切られてしまう。でも、罪を犯した時に、自分が先に家族を捨てていたんだと悟る。シリーズ化したようだ。次も読む。
『楽園』上下 宮部みゆき文藝春秋
 罪を犯した人間を切り捨てて家族の幸福を守ろうとするのが楽園の登場人物である。主人公は『模倣犯』の前畑滋子。後味はあんまりよくない。
カンニング少女』 黒田研二文藝春秋
『頼子のために』 法月綸太郎講談社
『眩暈を愛して夢を見よ』 小川勝巳、新潮社
 すみません、こういうのはついていけません
『芝浜謎噺』 愛川晶原書房
 何冊か借りるうち、前に楽しめたものを入れておくのだ。保険か?
『33個めの石』 森岡正博、春秋社
 「傷ついた現代のための哲学」と副題にある。死刑、自殺、生命倫理、差別と偏見など、哲学の課題として取り上げる意味について、それぞれ短く書いている。考えるヒントになる。

『SAT、警視庁に突入せよ!』

『わたしたちは繁殖している』7と8を読んだけど、自分の私生活をさらけ出して描く(書く)というのをうまくやってのけるというのはなかなかに難しいことだ。最初のころのは面白かったんだが、巻が進むにつれてジジさんはいろんな人に怒りまくる。自分がされたらわたしだって怒るだろうなと思うから、怒るのはいいんだけれど、反論の場を持たない一般人が一方的にやられている感じがして居心地が悪い。

昨日書きかけてそのままになっていた。
『電車屋赤城』 山田深夜、角川書店
 作家は自分の作品が誰かに似ているといわれると嫌なものだろうが、それでも言っちゃう。浅田次郎を思い出した。ツボを心得ている。浅田次郎の作品は、そのつぼを心得た臭さを芸にしているが(大好きな『プリズン・ホテル』など)この人のはそこまで突き抜けてないかな。ツボをちょっとつついてほろっとさせる。それだけで満足しないでほしい。期待できそうなんだからさ。
『SAT、警視庁に突入せよ!』 佐々木敏、徳間文庫
 『中途採用捜査官』もおもしろかったけど、これもよい。核爆弾を持ったテロリストに警視庁が占拠されちゃうんである。建物ごと、一般人も含め5000人が人質だ。楽しめます。

本が返ってくると

娘のところに行っていた本がダンボールに2つ返ってきた。これが問題なのは、置き場所はもちろんのこと、好きで買った(何回も読むために買った)本だから、目の前に突きつけられるとつい読んでしまうことなのだ。伊坂幸太郎『ゴールデン・スランバー』、『フィッシュ・ストーリー』、『重力ピエロ』を読み、いちばん好きな『砂漠』に伸びる手を押しとどめつつせっせと仕事をした。

24日土曜は、学生さんたちを相手にアムネスティの世界大会の話と「人間らしく生きたい」キャンペーンの話をした。このキャンペーンの中心となるのは「貧困」である。貧困は政治によって作り出されるものだ。貧困は人権侵害なんだというのがアムネスティの主張である。アムネスティの年次報告書を読んで一目でわかるのは、平均寿命の短さと、五歳未満死亡率、識字率が相関していることだ。アフリカのほとんどの国で、子どもの四人にひとり、五人にひとりは五歳にならないうちに死んでしまうのだが、そうした国では一日一ドル以下で生活する人の割合が非常に高い。都市のスラムはふくれあがっている。貧困にあえぐ人たちは、単に物がないというだけではない、その状態を変えるための手段と力も奪われているのだ。人権を切り離すことはできない。
というような話なのだが、来月はまた学生さんに同じような話をして、しかも時間が長い。中身を組み立てておかないとね。

生きてますのご挨拶

久しぶりに会った人から「生きてたの?」と言われて、これはやっぱりまずいかもーと反省した。ひょっとして心配してくださった方、ごめんなさい、生きてるし、本も読んでるし、仕事もしてます。

休み始めたきっかけは目の不調だった。視界が、言い表しにくいんだけれど、折りたたんだみたいに重なるということが3日くらいの間に何度かおきて、たいそう心配になっていろいろ検査してもらったりして、その間パソコンを見ないようにしていた。結果は、近視がひどいだけでとくにどこも悪くなかったんだけどね。原因がわからないまま症状は治まり、さっきまで(これを書こうとするまで)忘れていたのである。

現在は非常事態だ。なぜ非常事態かというと、めったに起こらないことが起きているからだ。前に、仕事をして渡したのに出版社が本を出さないんだよねーと愚痴ったことがある。定期預金だと思ってという慰めもいただいたが、その定期預金が各社いっせいに満期になった。なんでいっせいに? 陰謀か? てなわけで、ゲラが4つも集中したのである。本が出るわけで、出たらやがては印税も入ってくるわけで、いいことなんだろうが、なんでいっせいに? 陰謀か? と繰り返したくなるような事態に立ち至っている。アムネスティで忙しくなるだろうからと、ものすごく緩めの予定を立てていたのに、今年は「楽勝」のはずだったのに、いったいどうしてくれるのよ。

こんな状態でも本は読む、ペースは変わらない。これでやめられるようなら中毒とは言わないわけだ。
でも、読んだ本をぜんぶ書くだけの心の余裕はないので(2ヶ月だから60冊、ムリ)、いちばん最近読んだ本のことを書こう。

裁判員と「犯罪報道の犯罪」』 浅野健一昭和堂
 だいぶ前に「犯罪報道の犯罪」を読んで、共感していたのだが、この本は一部が重複している。最近の情勢を元に新しく書き足してある。浅野さんの主張はふたつ。
1.活字メディアが協力して自主的に人権侵害を防ぐために報道評議会を作れ
2.犯罪報道は加害者、被害者とも、原則匿名にせよ

新聞は(テレビ、週刊誌も)、容疑者が逮捕されたとたんに吊るし上げを始める。顔写真は出すわ、同僚の話は聞くわ、中学校時代の先生の話しは聞くわ、容疑者=犯人を前提に事件の背景を探るわ、あんたらは推定無罪という言葉を聞いたことはないのか。逮捕されたというだけで、仕事は首になるし、子どもは学校に言っていじめられるし、引越ししなくちゃならなかったり、はては家庭崩壊になる場合もある。
たとえあとで有罪が確定したとしても、浅野さんは、法で定められた刑罰以上の罰を与えるのでは法治国家ではない、メディアの仕事は罰を与えることだろうか、と言っている。

ジャーナリストは、一般人をいじめるんじゃなく、権力を監視して欲しいものだ。

秋だ、うれしい

空気がさわやかだ。朝晩ひんやりする。今年の夏はしのぎやすかった。
秋になったからといって、投票日に台風が来たりしないことを祈る。

『愛しの座敷わらし』 荻原浩朝日新聞出版
 これは『押入れのちよ』だな。長編だけど。田舎の古い民家に引っ越すと、そこには座敷わらしがいた。難しい年頃の娘と話ができるようになったお父さん、気力が出てきたおばあさん、福をもたらすってほんとうなのかな。御伽噺だけれど、荻原浩はいつも、家族の結びつきを書いている。座敷わらしがかわいい。

のだめカンタービレ22』 二ノ宮知子講談社
『誉れあれ 札幌方面中央警察署 南支所』 東直己双葉社
 んんー、シリーズになるのか? ススキノ探偵ものを10とすると7かな。書き込みが足りない気がする。
『臨死! 江古田ちゃん 4』 瀧波ユカリ講談社
 貸す約束をしたのに、まえのやつがみつからない。「みつかったらね」と留保をつけといてよかった。
のんのんばあとオレ』 水木しげる講談社